ガーデニングの様式
一口にガーデニングといいますが、実はその中にもいろいろな様式があります。では、どのような様式があるか?その点を見て行きます。
①イングリッシュガーデン
イギリスで確立されたスタイルで、様々な様式で発展してきました。日本で「イングリッシュガーデン」として定着したのは、コテージガーデンやボーダーガーデンと呼ばれる様式です。また、ロックガーデンやビートガーデンもイングリッシュガーデンに含む方もいます。幾何学的な形のフォーマルと自然な姿のインフォーマルが、一緒になったものです。特徴は、小さな空間に自然な雰囲気で草花を飾り、ナチュラルな配色と草花のフォルムにこだわった美しいデザインで、華やかな中にもしっとりとした自然な雰囲気を大切にしているという点です。植物は、バラやツル性の植物が使われます。時間と手間を惜しまず、レンガ・ウッドデッキ・木製ラティスフェンス・屋外家具・テラコッタなどイギリス風のアイテムを利用して、作りこんで行きます。
②コテージガーデン
イングリッシュガーデンの一種で、イギリスの田舎の小さな農家をイメージした様式です。かやぶき家と、その周囲の田園風景にふさわしいスタイルを取り入れたものです。オールドファッションのナデシコやスミレ,スイカズラやツルバラがからむノスタルジックな雰囲気を醸し出された、自然な感じがする庭です。
③ボーダー・ガーデン
イングリッシュガーデンの一種で、レンガの壁や生垣に沿った細長い帯状の庭。そこに、中低木や草花を後ろから前へバランスよく配し、表情豊かに、自然な立体感を演出します。遠景として見た場合、バランスの良いデザインにすることが重要で、メーンを花にするか葉ものにするかで、がらり印象が変わります。
④整形ガーデン
テーマやデザインに沿って作られた、人の手が行き届いた様式です。枠やフェンスなどは利用せずに、植物だけを使用した花壇やレンガなどで花壇を作り、その造形美を楽しむ庭やカントリー風の庭や木々を植えて森を作った庭など、作者の好みや意図が反映された庭造りとなっています。この他に、剪定の適期が分かりやすく、他のハーブを駆逐するミントなどの成長もコントロールしやすいというメリットもあります。世界のハーブガーデンは、ほとんどがこの様式です。
⑤トピアリーガーデン
針葉樹を装飾的に刈り込んだり、這わせたりして、例えば動物のように様々な形を作って庭に置く形式です。這わせる場合、ワイヤーで形を作っておき、そこにツル植物を這わせるものもあります。この様式の素材には常緑樹が用いられますが、特にコニファーやローズマリー、月桂樹などが人気です。屋外で管理することが多いので、植物は、耐寒性に優れたものが向いています。
⑥ホワイトガーデン
ヨーロッパから伝わったもので、白や銀色を基調に作られた様式です。例えば、道の両脇に塀やトレリスを置き、白の花をあしらったり、ボーダーを白の花でまとめたり、庭の一部の空間を白でまとめるなど、様々な工夫を凝らしたものです。例えば、ホワイトガーデン向けのバラとしては、ホワイト・ライトニン、ニフェトス、ミセス・ハーバート・スティーヴンズなどがあります。
⑦ロックガーデン
岩や石を庭園風に配置して、ところどころに植物をあしらっていく庭園スタイルで、日本庭園と通じるところがあります。印象としては、ややハードで野生的な感じになります。岩や石の間に植えられた植物が四季折々に咲き、その移り変わりが楽しみです。庭が傾斜地でガーデニングにあまり向いていないような環境にある方の場合、岩や石をバランス良く組み合わせ、ダイナミックな演出が可能となります。植物としては、高山植物、岩生植物などのように、通常の花壇で寄せ植えすると目立たなくなるような草丈の低い花や、小型の宿根草や山野草が適しています。
⑧キッチンガーデン
庭、ベランダなど小さなスペースで、キッチンで使う野菜を中心に、果実、ハーブ、薬草、テーブルを飾る花などを育てる様式です。一種の家庭菜園のように収穫を楽しむものですが、そこに概観も楽しみつつ行うという点が特徴です。基本的にオーガニック農法を志向するので、害虫の忌避効果があったり、お互いの成長を促進しあったりする植物を組み合わせて育てることが重要です。例えば、バラとナスタチウム、トマトとバジルがそれに当たります。なお、ラズベリーなど果実がなる木をメーンにした庭は、ベリー・ガーデンとも呼ばれます。
⑨アプローチガーデン
敷地の入り口から建物のドアまでのアプローチ周辺に接する部分の「庭」のことです。よって、場所的には、比較的コンパクトな花壇のイメージがあるところです。ただ、家の顔であり、来客を温かく迎え、強い印象を残し、帰宅した時には、くつろぎ感を感じさせるスペースであり、そばを通る人にも温もりとセンスを感じさせる場所になるので、大切な空間です。そのためここに植える草花は「ウエルカムプラント」とも呼ばれます。
⑩ウォールガーデン
家の壁をキャンバスに見立てて、クレマチスやツルバラなどのつる花草を這わせる様式です。植物が外壁を覆うので、断熱効果、音や埃を吸収する効果もあります。また、壁を利用するので、敷地に花を植えるスペースが無い場合にも有効です。植物によっては、自力で壁を這うことが出来ないものもあります。その時には、壁にトレリスを設置してから植物をかませるようにします。フェンスにハンギングバスケットを掛けるのも、花や葉ものを楽しむ、一つの方法です。
⑪ハンギング
籐かご、ウォールポット、吊り鉢などを庭や玄関先に吊るしたり、壁に掛けたりして、植物を上や横の目線から楽しむ様式です。容器の底面にマットを敷き、土を入れて植物を植え込みます。スペースが有効に利用できることや、すぐれた装飾性などの観点から、都市型生活にマッチした現代的な園芸スタイルとして、ますます人気が高まっています。植物としては、長く垂れ下がるような植物、もしくはボリューム感のある植物が向いています。例えば、アイビー、アイビーゼラニウム、ヘリクリサム、ブラキカムなどは、長く垂れ下がる感じが楽しめます。また、パンジー、ビオラなどは丸く盛り上がって、ボリューム感を楽しめます。注意点として、吊るしたり、壁に掛けたりするので、重量を出来るだけ軽くすることです。また、一般に乾燥しやすいので水やりに注意が必要です。
⑫ウォーターガーデン
池を用意し、スイレンなどの水生植物を栽培し、水のある景観と水生植物を楽しむ様式です。場合によっては、魚などの水生動物を一緒に飼育したり、噴水なども利用したりします。ビオトープ、アクアテラリウムなどと違う点は、主体が植物だということです。池の用意の仕方としては、実際に池を掘る場合の他に、ポリプロピレン製の市販の池や容器、穴を穿った石などに水を入れ、埋めたり置いたりして用意する方法があります。
⑬ベランダガーデン
ベランダ等に鉢植えやプランターを置き、その空間を庭に見立てて、植物を栽培することを楽しむ様式です。
⑭和風ガーデン
砂利を中心にいくつかの象徴的なアイテムを配置する様式です。シンプルな感じで、植物も少なくて済み、メンテナンスも楽ということが特徴です。高層マンションや建物に囲まれて植物が育ちにくい場所にも有効です。石が主体のため、風邪の強いマンションや高層階にもお勧めです。植物は竹、シダ類、ハラン、ヤツデなどが向いています。
⑮アジアンガーデン
リゾート風イメージを持たせた様式です。リゾート気分を楽しみたい方、椅子やテーブルを置いて、ティータイムを楽しみたい方などにお勧めです。那智黒石等を使用して南国のウェット感を演出し、植物は各種ヤシ、幸福の木、フェニックスロベリニーなどを置くと、雰囲気が出ます。注意点は、植物は南国系のものになりますので、冬場部屋に入れる必要の物は、数を絞った方が良いです。